ステンレス製品の『さび』について


ステンレスは絶対に錆びない金属ではなく、錆びにくい金属です。
一般的には、耐食性に優れた(サビにくい)合金で、含有されるクロムが酸素と結合して地金の表面にごく薄い皮膜を作り、この皮膜が腐食に強く内部を保護する結果、耐食性を発揮します。

この不動態皮膜はきずがついても、通常は空気中や水中などの酸素によって再生します。しかし、何らかの原因により不動態皮膜が破壊され、その再生が妨げられるときには、錆や腐食が生じます。(参照:P050309

発生するさびとしては、
@鉄粉を主体とする異種金属によるもらい錆
A排ガスの中の有害成分の付着による錆
B塩分の付着による錆
などが挙げられます。

ステンレスは、軟鋼やアルミニウムに比べて、はるかに耐食性にすぐれ、非常に錆びにくい金属ですが、絶対に錆びない金属ではありません。使用条件や使用環境によっては、よごれることも、錆びることもあります。これらのさびは初期の段階なら、比較的簡単に除去でき、もとどおりの表面状態にもどります。

このようにステンレスの錆は、ごく表面的なものであって、材質自体の腐食によるものではありません。この点が軟鋼やアルミニウムの錆と根本的に異なるところです。


@塩水にて錆を発生させた製品(SUS430)


A中性洗剤を用いて、スポンジたわし等で手入れを行います。


B表面に付着した錆を除去

ステンレス製品を美しく保つには、日常のメンテナンス(清掃、洗浄)を行う必要があります。(参照:P050310